【最後にドラマが】奈良クラブ V.S. FC岐阜(J3リーグ第17節)【エースの右足一閃】

はじめに

J3 第17節 奈良クラブ対FC岐阜 振り返り

J3リーグ第17節 2023年7月9日(日)@ロートフィールド奈良
前節の福島戦で渾身の勝利を掴んだ奈良クラブは、
ここ7試合負けなしでチーム記録目前に迫っている岐阜をホームに迎えての一戦。
劇的な展開になった試合を振り返る。

あくまで「1個人の感想と考察」という前提で、おたのしみいただけたら幸いです。

前節の振り返りはこちらから。

J3リーグ第16節「奈良クラブ V.S. 福島ユナイテッドFC」

スタメンおよびフォーメーション

奈良クラブ対FC岐阜 17節 スタメンおよびフォーメーション

奈良クラブ

奈良クラブのスタメンは前節から1人(伊勢選手)が入れ替わっている。

FC岐阜

岐阜は、前節からスタメンの入れ替えなし。
岐阜には元日本代表の柏木陽介選手、宇賀神友弥選手、田中順也選手が所属している。

  • GK:茂木秀(No.1)
  • DF:生地慶充(No.14)、藤谷匠(No.17)、川上竜(No.40)、宇賀神友弥(No3)
  • MF:庄司悦大(No.10)、柏木陽介(No.42)、窪田稜(No.8)、村田透馬(No.7)
  • FW:藤岡浩介(No.11)、ンドカチャールス(No.45)
  • 交代:松本歩夢(No.19)、北龍磨(No.6)、浮田健誠(No.15)、田中順也(No.18)、田口裕也(No.48)

試合結果

まず初めに、試合結果は
○ 1-0での勝利
となった。

奈良クラブはの順位は4位に上がった。

試合ハイライト(公式)

奈良クラブ公式がアップロードしているハイライト。

試合展開

前半総括

両者ともポゼッション志向のチームのため、手堅く繋ぐ展開から始まる。

FC岐阜の442ブロックは、奈良のCBに対して、FW2枚が少し内側から牽制
SBに対して岐阜のSHがかなり高い位置で牽制するので、
奈良にとっては、最終ラインに蓋をされている状況。

片岡選手をSBの位置に降ろして、SB2枚を高い位置に押し上げるなど
対策を講じつつビルドアップを工夫していた。
この可変システムだと、
・相手のSHを片岡選手に食いつかせる
・相手のSBを寺村選手に食いつかせる
そうすると右WG(この時は嫁阪選手)に対して
相手ボランチorCBのどちらがマークにつくのかの曖昧さが生まれる。
この試合では相手ボランチの柏木選手がマークにくるので
中央のパスコースが開ける。
前半12分のシーンはその流れから素晴らしい組み立てができていた。

一方で岐阜はビルドアップ時に3バック+1アンカーという形に可変する。
特に、庄司選手と、柏木選手が流動的に動く形でボールを回す。
奈良は、庄司選手と柏木選手をどう捕まえるのかに苦しんでいた。

  • パターン①
    • 右SB生地選手が高い位置を取って、3バック化
      柏木選手 or 庄司選手がアンカーに入り、4枚を形成
    • このパターンだと、左SBがそのままなので、FWが左に流れることで
      奈良の右WGが前に出にくい状況を作る
  • パターン②
    • 柏木選手がSBに入り2CBと組んで3バック化
      庄司選手がアンカーに入り、4枚を形成
    • これは両SBが高い位置を取れるので、奈良の両WGに蓋ができる
  • パターン③
    • 庄司選手がCB2枚の間に入り3バック化
      柏木選手がアンカーに入り、4枚を形成。
    • パターン②と同じく両SBは高い位置を取れる。
  • パターン④
    • 生地選手が右SBの位置からアンカーに入り
      3バック+1アンカーの4枚を形成。

素人目に見てこれだけのパターンがあったので
かなり後ろ4枚でのビルドアップは練習してきている。

後ろ4枚で、奈良の2枚(or 3枚)に対して鳥籠を作り
優位性を確保しつつ、パス回しの中でフリーを作り持ち上がり侵入してくる。
正直かなり上手い。というか、個人のスキルも高い。

ディフェンシブサードでかなり違いを見せられたが
ミドルサード、アタッキングサードは強固にブロックを敷いているので
奈良クラブは攻め込まれてもそこまでピンチを招くことはなかった。

前半29分、右サイドで数的同数のところ、SHとSBのマーク受け渡しの隙を狙って
西田選手が裏を取り、寺村選手のプレースキックがバッチリ決まり、
右サイド深い位置から西田選手が折り返す。
それをファーで嫁阪選手がヘディングするも、相手のブロックで防がれる。

前半は、両者ともチャンスシーンは少なかった。
どちらかというと、岐阜がボールを回してチャンスメイクしているのに対して
奈良はボール奪取したところからチャンスを作るシーンが多かった。
岐阜のストロングを消せなかったことで、
奈良クラブらしさもあまり出せなかったように思う。

後半総括

後半に入っても基本的には岐阜の4枚でのビルドアップを奈良クラブが受ける形が続く。
ただ、後ろでどれだけ数的有利を作られても、自陣に侵入されてからは好きにさせない守備が徹底できていた。

岐阜は、細かいパスで奈良のブロックが崩せない状況でも
ロングボールの選択肢があった。基本狙い目はSB裏のスペース。
柏木選手のプレースキックの能力は高い。流石。

65分、シュートまでいけなかったが良い崩しが見られた。
中島選手が降りてきて、鈴木選手パス交換をしつつ
中島選手にンドカ選手を食いつかせて、鈴木選手がフリーのままじわじわ前に持ち出す。
ある程度持ち上がると今度はンドカ選手が鈴木選手が気になるのでプレスをかける。
そうなると中島選手がフリーとなるので、堀内選手を経由してフリーの中島選手へ。
そこからさらにワンタッチで内側に絞っていた西田選手へ。
ここまで全てダイレクトパスで素晴らしい崩しだったと思う。

88分、右サイド低い位置で、可児選手と堀内選手のパス交換から左サイド鈴木選手へ
相手選手がシフトする前に、中島選手へ縦パスをさす。
(いつも山本選手が引き出しているような縦パス)
中島選手から桑島選手に繋げてクロスはキーパーのパンチング。
この試合終盤からお互いに決定機が連続するようになる。

90分、可児選手が個人技で相手選手を剥がして持ちが上がり
都並選手へと繋いで、クロスを桑島選手が落として再び可児選手へ
右足で切り返して、左足でのシュートは惜しくもブロックされる。
その後も立て続けにクロスから加藤選手のヘディングも枠を捉えられず。

その直後91分、92分、続け様にピンチを迎える。
田口選手にはかなりヒヤヒヤさせられた。
押せ押せムードに入って、奈良の選手も意識が前のめりになっているので、
珍しく裏抜け一本のパスを通されてキーパーと1対1になってしまった。
この2本のどちらかを決められていたら負けていた。本当に紙一重だ。

94分。劇的弾が生まれる。本当の本当にラストワンプレー。
相手ボールになった直後の酒井選手と中島選手の素早い切り替えから強度の高いプレス。
バックパスを狙っていた浅川選手がそのまま右足一閃。
リフレクションがあったボールはそのままゴールへ吸い込まれた。
こういうドラマがあるからサッカー観戦はやめられない。

そのままキックオフでの再開直後に試合終了。
見事上位対決を制した。

印象に残った選手

浅川隼人選手

今節はもう印象に残らないはずがない浅川選手。

あの時間あの場所にいて、誰よりも先にボールに反応していた。
0.5秒でも遅ければ相手のブロックが間に合っていたかもしれない。
ただ、その0.5秒の間に誰よりも先に動いて迷わず振り抜いたシュート。

ホームサポーターの前で見せた劇的弾は、この日スタジアムに来た人の心に刻まれただろう。
ご本人の振り返りでも語られていたが、こういうゴールが奈良をさらに盛り上げるはずだ。

この日のゴールで2戦連発。得点数も9点で二桁まであと1点のところまで来た。
ぜひ、前半戦のうちに二桁に乗せて欲しい。期待している。

もちろんここに全ては書けていないが、
守備の時間が長い中で相手にゴールを許さず守り切った守備陣の奮闘も素晴らしかった。
全員がMVPとはまさにこういう試合のことなのだと思う。

順位推移

奈良クラブ 17節終了時点の順位推移

今節の勝利で奈良クラブは4位に順位を上げた
上位陣が引き分け含めて勝ち点を手堅く伸ばしたため、
TOP3は少し遠いが、第二グループの先頭にいる状況。

17節終了時点の勝ち点差一覧

順位等のデータについてはこちらの記事でまとめているので、お時間あればぜひ。

2023年シーズンをデータで見る

まとめ

奈良クラブのJ3第17節、FC岐阜との試合について振り返りを行った。

苦しみながらもエースの劇的弾で連勝達成。
上位対決を制して4位に浮上。

次節はアウェイSC相模原戦。
3連勝を期待している。

バモス!奈良クラブ!

奈良クラブ2023年シーズン振り返り記事まとめ

コメントを残す

CAPTCHA


ABOUT US
つとむをつむ
奈良生まれ奈良育ちで県外就職した元奈良県民 奈良でサッカーをしていた当時 奈良にJリーグチームが出来るなんて思ってもいなかった 県外に出てしまったが 奈良県初のJリーグチーム「奈良クラブ」を応援したい そんな思いで外からでもわかる奈良クラブと奈良の魅力を発信するブログを始めて今に至る。