「奈良クラブ V.S. テゲバジャーロ宮崎」J3リーグ第9節を振り返る (試合結果も含みます)

はじめに

J3リーグ第9節
GWの3連戦の2戦目、前回のガイナーレ鳥取戦から中3日で迎えた今節。
試合前時点で奈良クラブは2位、ガイナーレ鳥取は14位。
奈良クラブとしては勝てば首位に立てる可能性がある中で
どのような戦いになったのか振り返っていきたい。

個人的に、今シーズンで一番面白い試合だった。
まだ奈良クラブサポーターじゃない人にもおすすめしたい試合。

あくまで「1個人の感想と考察」という前提で、おたのしみいただけたら幸いです。

奈良クラブ vs テゲバジャーロ宮崎 3点目のシーン

スタメンおよびフォーメーション

奈良クラブ

奈良クラブのスタメンは前節から2人(片岡選手と西田選手が)入れ替わっている。
またベンチには第2節ぶりに金子昌広選手が復帰。

  • GK:岡田慎司(No.15)
  • DF:寺村浩平(No.33)、鈴木大誠(No.5)、伊勢渉(No.4)、加藤徹也(No.11)
  • MF:堀内颯人(No.8)、片岡奏(No.20)、山本宗太朗(No.10)、嫁阪翔太(No.39)、西田恵(No.16)
  • FW:浅川隼人(No.29)
  • 交代:金子昌広(No.9)、中島賢星(No.14)、可児壮隆(No.17)、酒井達磨(No.19)、都並優太(No.13)

3連戦ということもあり選手起用に関してはマネジメントされている印象を持った。

テゲバジャーロ宮崎

宮崎のスタメンは前節から変更なし。
システムは4-4-2。

  • GK:植田峻佑(No.99)
  • DF:青山生(No.2)、西岡大志(No.4)、眞鍋旭輝(No.28)、小川真輝(No.17)
  • MF:大熊健太(No.6)、下澤悠太(No.10)、北村知也(No.13)
  • FW:石津大介(No.16)、南野遥海(No.42)、永田一真(No.80)
  • 交代:田中純平(No.22)、橋本啓吾(No.11)、山崎亮平(No.18)、松本幹太(No.20)、青戸翔(No.7)

前節から中2日と奈良クラブよりもタイトな日程で迎える宮崎だが
スタメンは変更なしとなった。

試合結果

まず初めに、試合結果は
○3-0での勝利
となった。

4連勝、4戦連続クリーンシート、ホーム2連勝。
この結果を受けて、奈良クラブはJ3リーグで遂に1位となった。

試合ハイライト(公式)

奈良クラブ公式がアップロードしているハイライト動画

試合展開

開始5分 奈良クラブペースで進む(奈良が先制)

前半立ち上がり5分は完全に奈良クラブペースだった。
開始1分にオウンゴール(ほぼ嫁阪選手のゴール)が決まった点も大きいが
今節は守備開始位置がかなり高く(相手PA内でCBがボールを保持したところからスタート)
奪ってショートカウンターと、跳ね返されたボールを回収しての2次、3次攻撃と
おそらく開始5分で3,4本ほどシュートを打ち込む展開だった。

奈良の浅川選手、山本選手がCB2枚にプレスをかけるため、
宮崎としてはDFラインで数的同数となりビルドが苦しい展開
そこでボランチの下澤選手、大熊選手がCBの間に降りて組み立てに参加するシステムへ可変。

前半8分〜20分 両者チャンスシーンを作る

CB間にボランチが降りることでビルドアップが安定したことで
宮崎もシュートチャンスを作り始める。
また、奈良のディフェンシブサードまで押し返すと
宮崎も前からプレスをかけることで奈良のビルドアップを停滞させていた。

一方、奈良クラブは左右両サイドが推進力高く
山本選手がフリックして西田選手が右サイド深い位置からクロス
浅川選手がゴール前で合わせるチャンスシーンもあり
なかなか一進一退の展開に切り替わる。

前半20分〜30分 両者FKのチャンス(奈良2点目)

20分台に入ると両チームいい位置でのFKのチャンスを手に入れる。

宮崎のFKのシーンはPA少し左からで直接狙ったシュートはGK岡田選手がセービング
ここで決められていたら、スコアは1-1だったので試合展開は大きく変わったと思う。

一方で奈良のFKはPA右側の位置。
このFKの直前は堀内選手からの鋭い縦パスが効いていた。

FKは左利きの嫁阪選手が直接狙うも壁に弾かれる。
しかし、すぐにボールを回収してクロスを上げると
ファーサイドの伊勢選手が合わせて奈良クラブ2点目。
※嫁阪選手のクロス前の相手のタイミングをずらすフェイントが上手いので
是非ハイライトでみてほしい。

前半30分〜45分 宮崎ペースになりかけるが流れを渡さない

宮崎が前がかりになって試合のペースが宮崎に傾きかけていた。
特に33分のシーンはゴール前フリーで南野選手にシュートを打たれて
正直決まっていてもおかしくなかった。
だが、GK岡田選手のビッグセーブで流れを宮崎に渡しきらない。

そこから逆に奈良クラブも
片岡選手から浅川選手スルーして西田選手のシュート
という流れるような攻撃シーンがあり
リズムに乗りかけていた宮崎を止める。

この時間あたりから、宮崎はボランチが降りなくなり
GKがCB2枚の中央でパスを受けるようになる。
これはおそらく試合経過に伴い、宮崎の最終ライン3枚に対して
奈良クラブが2枚となる状況では奈良のプレスがかからないと判断したため。

前半39分、西田選手の積極的なミドルシュートのシーン
今思えばこういった積極性がこの試合随所に見られていて
それが後半のゴールに繋がったように思う。

後半開始〜10分 宮崎のビッグチャンスを防ぎ、反対にに3点目を取り切る

後半開始は落ち着いた展開だったが、
5分を経過したあたりから宮崎がビッグチャンスを迎える。
奈良のビルドアップを引っ掛けてショートカウンターから
永田選手がシュートまで行くが、寺村選手のシュートブロックでCK
そのCKが直接クロスバーを叩き、ファーサイドでオーバーヘッドも枠外へ

そして右サイドから南野選手が上げたクロスを
またも永田選手が合わせるもGK岡田選手がセービング。

立て続けに攻め込まれていた奈良クラブだったが
その直後、GK岡田選手からのロングボールから山本選手が頭でそらして
浅川選手が西田選手へ展開し、西田選手がダイレクトでシュートで3点目。

宮崎のチャンスシーンの後に、必ず奈良もチャンスシーンを作り
宮崎を勢いづかせない試合展開となっていた。

※このゴール後、西田選手がゴール裏へ駆け出している裏で
堀内選手が相手の試合再開を止めるためセンターサークル内に立っていた。
こういったスマートな振る舞いに日本代表の長谷部選手のような安心感がある。

後半10分〜25分 相手の嫌なプレーを手堅く実施

宮崎は選手交代で流れを変えに出る。その直後、奈良も選手交代を実施。
奈良は山本選手に代えて中島選手、寺村選手に代えて都並選手が投入される。
山本選手が代わったことで、片岡選手が一列前になり、
中島選手が元の片岡選手の位置に入った。

ここから奈良は手堅く戦う。
この時間帯でも前からプレスを実施。
宮崎としては流れを引き寄せたいはずなのだが
そんな宮崎にとって嫌なプレーを奈良は手堅く実施していた。

後半25〜40分 金子選手の復帰 前線入れ替え

奈良は2度目の選手交代
浅川選手に代わって酒井選手、嫁阪選手に代わって金子選手(2節以来の出場)
金子選手の復帰を待ってました!

宮崎はここからシンプルにクロスを上げるようになる。
しかし、あと一つ精度を欠いてGKに直接キャッチされる場面が2度ほどあった。

この時間帯で、前線にフレッシュな酒井選手が入り
相手DFはすごく嫌そうだった。
実際に酒井選手が前線でマイボールにするシーンが2つ程あり
連戦の疲れ、後半の後半の時間帯、
その状況でプレスをかけられるのは辛いものがあるだろう。

後半40分~ 中島選手の躍動とATのピンチシーン

この日大活躍の西田選手に変わり、可児選手が入る。
それに伴い片岡選手が左WGに移り、中島選手が一列前になる。

一列前になった中島選手に3度ほどチャンスシーンが生まれる。
自身が奪ったボールから酒井選手のシュートのこぼれ球のシュート
都並選手のクロスからの競り合い、そして片岡選手からのクロスのヘディング
徐々にコンディションが上がってきているようで
何度もスプリントしてゴール前に厚みをもたらしてくれている。

ATに入り宮崎ビッグチャンスが生まれる。
山崎選手が個人技で侵入しゴール右側で切り返して左足でのシュート
GK岡田選手が弾いたところに橋本選手が詰めていたが、これも岡田選手が弾く。

GKは最後の砦と呼ばれることがあるが、岡田選手の砦は強固で頼もしすぎる。

奈良クラブ得点シーン

では、この試合のゴールを振り返っていく。

1点目:オウンゴール

前半1分のゴールシーン

  • [奈良] 鈴木選手から前線でターゲットになる山本選手へロングボール
  • [奈良] 山本選手がしっかりおさめて嫁阪選手へ展開
    • 山本選手の後ろからのロングボールをおさめる技術が日に日に高くなっている印象
  • [宮崎] 西岡選手がボールをカットするが、不運なリフレクション
  • [奈良] 嫁阪選手が回収してペースアップ、ニアサイドに早くて低いクロス、眞鍋選手のシュートブロックがそのままゴールに吸い込まれる

宮崎としては不運が重なったオウンゴール。
ニアに低くて早いクロスが上がると、DFとしては対応が非常に難しい。
だからこその狙いどころだし、
仮に眞鍋選手が触れていなかったら浅川選手のゴールになっていただろう。

2点目:伊勢選手

前半28分伊勢選手のゴールシーン

  • [奈良] 嫁阪選手のFKは壁に当たるも、切り替えて即時ボールを回収
  • [奈良] 嫁阪選手が緩急を使ったフェイントで相手を剥がしファーサイドにクロス。
    • ここのフェイントが上手い
  • [奈良] ファーサイドで待っていた伊勢選手が強くミートしてゴール。

このシーンはFKで相手選手が壁に7枚も割いていたため、
そもそもファーサイドは人の数が少なかった。
壁に当たった後、宮崎の選手たちが奈良の選手を目で終えておらず
結果としてファーサイドでフリーだった伊勢選手が得意のヘディングでゴール。
ゴール後の雄叫びがとてもカッコよかった。

3点目:西田選手

後半7分西田選手のゴールシーン

  • [奈良] 岡田選手から前線の山本選手へロングボール
  • [奈良] 山本選手がヘディングでそらす
    • この時山本選手と浅川選手は縦の関係
  • [奈良] ボールのバウンドを使って浅川選手が眞鍋選手と入れ替わる
  • [宮崎] 小川選手がカバーに入る
  • [奈良] 小川選手が寄せてきて空いたスペースに走り込む西田選手へパス
  • [奈良] 西田選手がダイレクトで強烈なシュート。

やはり長身の山本選手は前線のターゲットになる。
山本選手と縦の関係を作ってヘディングでそらしたボールに即時に反応する浅川選手。
この辺は何度も練習している奈良クラブのストロングポイントだと思う。
そしてこの試合何度も積極的にシュートを放っていた西田選手に待望のゴール
本人は興奮のあまりゴール裏へ駆け出していた。

印象に残った選手:岡田選手、西田選手、堀内選手

1人目は岡田選手。
ここ数試合GKのスタメンをキープしている岡田選手が
この試合も抜群のセービングを見せてくれた。
気持ちのこもったビッグセーブは、チームの流れを引き寄せるし
見ている観客を魅了する。本当にいい選手だ。

2人目は西田選手。
この試合は何度もチャンスシーンを作っていたし
何より初ゴールが生まれた。
この日は特に前に後ろにハードワークしていたので
そういった献身的な選手にゴールが生まれて嬉しく思う。
シュートは完璧にミートしていた。あれは止められない。

3人目は堀内選手。
堀内選手は前からのハイプレスサッカーを楽しんでいるように見えた
かなり積極的なアプローチをしてボールを刈り取り
そして何度も縦パスを差し込んでいてチャンスを作っていた。

それぞれの特徴がうまく組み合わさって凄く面白いサッカーだった。
先にも書いたがこの試合が今シーズンで一番面白い試合だったと個人的には思う。

入場者数と試合前順位

今節の入場者数は1823人だった。

奈良クラブの試合があった5月3日は、関西圏で同時刻に試合が2つあった。

サンガスタジアムで「京都サンガFC vs 川崎フロンターレ」14時KO
パナソニックスタジアムで「ガンバ大阪 vs セレッソ大阪」14時KO

特に大阪ダービーと被った影響は大きかったと思われる。

次節、奈良クラブはFC大阪をホームで迎え撃つ生駒山ダービー。
多くの観客が集まることを期待したい。

まとめ

奈良クラブのJ3第九節、テゲバジャーロ宮崎との試合について振り返りを行った。
4連勝で、ついにチームは1位に躍り出た。

まだ始まったばかりではあるが
サポーターとしてはこの状況を素直に喜びたいと思う。

3連戦の最終戦は5/7の天皇杯奈良県代表決定戦 vs飛鳥FC
そしてリーグ戦の次節はFC大阪との生駒山ダービーとなる。

どちらも負けられない戦いである。必ず勝利を!

バモス!奈良クラブ!

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ABOUT US
つとむをつむ
奈良生まれ奈良育ちで県外就職した元奈良県民 奈良でサッカーをしていた当時 奈良にJリーグチームが出来るなんて思ってもいなかった 県外に出てしまったが 奈良県初のJリーグチーム「奈良クラブ」を応援したい そんな思いで外からでもわかる奈良クラブと奈良の魅力を発信するブログを始めて今に至る。