
はじめに
2026年7月末、サッカー界でとある騒動が起きていました。
この計画に対して、UEFAが猛反発したことで、大きなニュースとなりました。
最初にこのニュースを見たとき、正直なところ、
「なんか、またFIFAの会長が揉めてるなー。W杯で色々揉めたばっかりだよな。」
くらいに思っていました。
ところが、このニュースを調べてみると、
「これからのサッカーの在り方」を考えさせられるものでした。
今回はそんなFFE関連ニュースについて、以下の順で私なりの解釈で解説したいと思います。
- そもそも「FIFA Forward Enterprise」とは?
- なぜFIFA(インファンティノ会長)はFFEを作ろうとしたのか
- では、FFEは何が問題だったのか
- FFE問題を発端に考えるサッカーの在り方
- 1人のサッカーファンとして
そもそも「FIFA Forward Enterprise」とは?
まずはFFEについて簡単に説明します。
詳細はFIFA公式アナウンスをご確認ください。
FIFAが作ろうとしていた「FIFA Forward Enterprise」は、ワールドカップなどFIFA主催大会の商業・イベント運営を担うFIFAの子会社という立ち位置の会社です。
対象になるのは、
- 放映権
- スポンサー権
- チケット
- ホスピタリティ
- ライセンス
など。
つまり、ワールドカップから生まれる「お金」に関する部分をまとめて扱う会社、と考えると分かりやすいと思います。
そして、この会社の価値を約200億ドルとし、
FIFAはFFEの株式の最大20%を外部の民間投資家に売却することで、最大42億ドルを調達する計画となっていました。
すごく飛躍した表現で言うと
「FIFAがワールドカップを投資家に売る」
ということになります。
もちろん売るのは少数株式であり、意思決定権はFIFAが持つので
「売る」という表現は少し過激ではありますが、
実際FFE関連のニュースでは頻繁に使われる表現となっています。
では、非営利団体であるFIFAが投資家から大金を調達する計画を立てたのは何故なのか
次の段落ではその理由について書いてみます。
なぜFIFA(インファンティノ会長)はFFEを作ろうとしたのか
ここは、インファンティノ会長の考え方を知ると少し分かりやすくなります。
インファンティノ氏は2016年にFIFA会長になって以降、FIFAの大会をどんどん大きくしてきました。
例えば、2026年のワールドカップは参加国を12増やして、48チーム制になりました。
クラブワールドカップも4年に1度にする代わりに参加チームを増やして大きな大会にしています。
これによってFIFAは、より多くの放映権収入やスポンサー収入などを得られるようになります。
もちろん、FIFAは非営利団体ですので単にお金を稼ぐことが目的ではありません。
FIFAは稼いだお金をサッカーの発展のために使います。
そのため世界中のFIFA加盟国に分配しています。
例えば、Forward 3.0という仕組みでは、各加盟協会が2023~2026年の4年間で最大800万ドルの支援を受けられる仕組みになっています。
引用:FIFA公式
FIFA加盟国は2026年時点で211ヵ国ですので、分配金は相当な額となります。
つまりインファンティノ氏の考え方をかなりシンプルにすると、
「FIFAがもっと稼ぐ」
↓
「そのお金を世界のサッカー発展のためにもっと配る」
というものです。
FFEも、この考え方の延長線上にあったと考えられます。
それが建前なのか本心なのかは受け取り側にはわからないですが。
そうした考え方自体は、そこまでおかしなものではありません。
では、なぜこれほど大きな問題になったのでしょうか。
では、何が問題だったのか
「FFEそのものに対する問題」と、「FFEの進め方の問題」とに分けて考えます。
「FFEそのものに対する問題」
- 民間投資家を入れる必要があるのか
- W杯の商業価値の一部を外部に渡して良いのか
の2つが問題点だと思います。
民間投資家を入れる必要があるのか
民間投資家から資金調達をするということは
その投資家の利益も考える必要が出てきます。(意見を取り入れる必要性が出てきます。)
もちろん株式の20%だけなので意思決定は過半数を持つFIFAが行えますが
かといって全ての意見を無視して良いという話でもないです。
これまでは、サッカーに深く関わってきた人たちがW杯を作り上げてきましたが
サッカーに関わりが深くない人でもW杯に対して意見を出せるようになることで
W杯の魅力を損なうような変更が起きないか、
そのリスクを抱えてまで民間投資家を入れる必要があるのか
というところが問題視されていると思います。
W杯の商業価値の一部を外部に渡して良いのか
投資を受けるということは、その見返りが必要になります。
FFEが稼ぎ出したお金のいくらかは投資家にリターンとして渡ることになります。
会社を設立し、その株式を売ることで、一時的にお金を調達できますが、
将来のW杯で稼げるお金の一部を投資家に還元してしまうのは
将来の稼げるお金を減らすことにもなります。
その観点を天秤にかけたときに、果たしてこの判断は正しいのか
今の段階では判断が難しいですが問題点としてあると思います。
「FFEの進め方の問題」
今回のFFE問題を調べていて、個人的に一番気になったのがここです。
FFEそのものが悪いというより、
「こんな大きな話を、どうしてこんな形で進めたの?」
というところです。
UEFA、AFC、CONCACAFなどは、十分な協議がなかったことを問題視しました。
Reutersによると、FIFAは6つの大陸連盟を経由せず、211の加盟協会に直接FFE構想を提示したとされています。
しかも、加盟協会に対して9月19日までの同意を求め、賛成した協会には1協会あたり4000万ドルの支援を提示していたと報じられています。(reuters.com)
これには、当然ながら大陸連盟から反発が出ました。
AFCは、これほど重要な提案について十分な検討時間がなかったことを問題視。
CONCACAFも、事前に相談されず、メディア報道やFIFAの発表を通じて知ったとしています。(reuters.com)
そしてUEFAは、かなり強い言葉を使いました。
“None of us are the owners of football.”
引用:reuters.com
「我々の誰もサッカーの所有者ではない」
“It is not FIFA’s to sell.”
引用:reuters.com
「FIFAが売っていいものではない」
これらの趣旨の主張は今回の問題を理解する上で、かなり重要なところだと思います。
FIFAは世界のサッカーを統括する組織ですが、
「だからFIFAが何でも自由に決めていい」
ということではありません。
どのような業界でも急激に大きな変更を行う場合、
反発や混乱が起きるのが当然です。
そのような変更にも関わらず、相談なく進められたことで
大きな反発が出たというのは、かなり自然な反応だったのではないでしょうか。
こうした反発の結果、FIFA公式からFFEの撤回アナウンスがなされました。
FFE問題を発端に考える「サッカーの在り方」
FFE問題は撤回されて収束となっていますが、
個人的に今回の問題は「サッカーの在り方」をどう考えているか
そこを根幹として問題が生じたように思います。
サッカーを構成する要素は多岐にわたります。
選手、審判、ルール、戦術、ピッチ、試合時間、など様々な要素が在ります。
この要素が変わったら、もはや自分が考えるサッカーとは別のものになる。
と感じる範囲は人によって異なります。
言葉として適切かわからないですが、
サッカーの本質と捉える範囲が広い人もいれば、限定的に捉える人もいます。
FIFAやインファンティノ氏はより限定的に捉えていると思います。
サッカーの価値をさらに高めていくために変えて良いと思っている要素が多いのだと思います。
一方で、広く捉えている人もいます。
特にサッカー発祥のイングランドや、サッカー市場の中心であるヨーロッパは
今のサッカーを変えることをヨシと思わないと思います。
今回の2026年のW杯だけでも
- ハイドレーションブレイクの導入
- 決勝のハーフタイムが約27分となった点
など、これまでのサッカーと大きく異なる点がありました。
商業的にはどちらもメリットになりますが、
その変更が受け入れられない人もいると思います。
FFEで民間投資家が入り、さらに急激にサッカーが変えられてしまわないか
そういった不安感情を持つ人もいると思います。
お金や商業価値を求めていくことで、失われるものがあるかもしれません。
世界的な人気スポーツである「サッカーの在り方」
それは見る人の数だけ考えがあると思います。
今回のニュースで私個人もサッカーがどう在って欲しいかを考えることができました。
最後に、1人のサッカーファンとして
近年、サッカー関連のお金はどんどんインフレしていってるように思っています。
放映権の高騰によるサブスクの値上げ
サウジリーグやプレミアリーグのとんでもない移籍金や選手年俸
それに伴う各国の玉突き移籍。
サッカーの市場が世界的にとんでもなく大きくなり
止まろうとしても止まれなくなっている
大きな渦にみんなが飲み込まれているような印象を受けています。
どこかでお金と一定の距離を取らなければサッカーは消耗しすぎてしまう
そんなことを、1人のサッカーファンとして考えてしまいました。





FIFAが「FIFA Forward Enterprise(FFE)」という新しい会社を作ろうとしている。
FFEという会社に、ワールドカップなどFIFA主催大会の商業権を集める構想がある。
さらに会社の株式の一部を民間投資家に売却する計画まである。