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今節を一言で言うと:「内容の伴った敗戦」
J3リーグ第19節 2023年7月22日(土)@ロートフィールド奈良
今節を一言で言うと「内容の伴った敗戦」
試合前順位2位のカターレ富山に対して、斯く戦ったのか振り返るのでぜひ見ていって欲しい。
あくまで「1個人の感想と考察」という前提で、おたのしみいただけたら幸いです。
前節の振り返りはこちらから。
スタメンおよびフォーメーション
奈良クラブ
奈良クラブのスタメンは前節から3人(岡田選手、伊勢選手、都並選手)が入れ替わっている。
カターレ富山
富山は前節から入れ替わりなし。
(余談だが、富山のユニフォームがかっこいいのでぜひ見て欲しい)
試合結果
まず初めに、試合結果は
となった。
【2023明治安田生命J3リーグ第19節】
— 奈良クラブ (@naraclub_info) July 22, 2023
⏰試合終了
今節も猛暑の中、最後まで応援をありがとうございました。#奈良クラブ 1-2 #カターレ富山#naraclub #奈良一体 pic.twitter.com/wkNPl5RUww
奈良クラブはの順位は8位に後退した。
試合ハイライト(公式)
奈良クラブ公式がアップロードしているハイライト。
試合展開
前半総括
- コンダクター(指揮者)は中島選手
- 中島選手は守備も素晴らしかった
- 決定機を決めて先制したかった(13分のシーン)
- 山本選手のおしゃれパス(36分のシーン)
- PK、CKでの失点。
前半は、ほとんど奈良クラブがボールを保持して試合を展開。
富山は442ブロックを組んでの守備。
自陣に入ってくるまで積極的に奪いに来ない。
夏場のデイゲームなので、試合通して体力のマネジメントの戦術と思われる。
奈良クラブは、中島選手がのびのびプレーできていた印象。
目に見えてボールに関与する回数は多かった。
ポジショニングはかなり柔軟で
SBの位置に降りる、中央後ろ目で受ける、ランニングでスペースを空ける、など
中島選手がコンダクターとなってビルドアップしていたように思う。
注目シーン① ポジションチェンジとボールを受ける位置の重要性
13分のシーン。Youtubeハイライトにもあるのでぜひ見てください。
パスの流れは
都並 → 浅川★ → 都並★ → 西田 → 嫁阪 (★はダイレクト)
うまく崩せた理由としては
- 都並選手が内側でリターンパスを受けた
- 本来CFの浅川選手が右サイドに降りてくる
- ボールを受ける位置を空けておく
が挙げられる。
おそらく西田選手と浅川選手が入れ替わっていなければ
相手左CBの注意を前に集められなかったので、裏抜けは厳しかったかもしれない。
また、都並選手がリターンパスを内側で受けれたのも一本で縦を狙える要因だと思う。
そのまま西田選手のクロスに嫁阪選手のシュートは惜しくも枠外。
前半最大の決定機で、結果論だがここで決め切れていたら違った展開だったように思う。
注目シーン② 中島選手の守備意識(予測と空間把握)
31分のシーン。
岡田選手からのゴールキックのセカンドボールからの一連の守備
- 相手選手がルックアップした前にいる選手へのパスを予測
- 柴田選手が浮き玉処理後に顔を上げて見た先に坪川選手がいた
- その坪川選手へのパスを予測し走り出していた
- SBのスペースカバー(空間把握)
- 都並選手が内側に絞っている右SBスペースに相手左SBが走り込む
- 内側をスプリントで戻りカバーしたことで攻撃を遅らせた
このシーン本当に素晴らしいプレーなのでぜひ見て欲しい。
特にスペースカバーのランニングは素晴らしかった。
ここぞと言う時にちゃんと守備にスプリントしてくれるのは心強い。
注目シーン③ 山本選手のおしゃれパス
36分のシーン。
最終的にシュートまで行った崩しの起点となった山本選手のおしゃれすぎるパス。
- 右足のキックモーションは外から内
- 外から内はフェイクで右足アウトで相手選手2人の間を抜くパス
一瞬のプレーだがめちゃくちゃおしゃれ。このシーン10回は見た。
後半総括
- 相手選手の退場
- 嫁阪選手のカウンター炸裂
- 一矢報いる桑島選手のゴール
後半は相手選手の退場もあり、ずっと奈良クラブのターンのような試合展開。
ただゴールを決められない、最後はやらせない富山の守備が固かった。
ブロックの外でボールを回されることは覚悟の上で中央を閉じた富山は固かった。
注目シーン④ 相手選手の退場と西田選手のストロング
56分 左サイドで仕掛けた西田選手を止めた際にファウルで柳下選手が退場となった。
- 西田選手のストロングである相手の懐に入るドリブル
- 180cmの柳下選手と164cmの西田選手(相手選手が大きいほど効果的)
- 柳下選手の脇の下から入り込み体を前にねじ込む
- 体の角度にも注目で体格の良い選手に弾かれないようにかなり傾けている
小柄な西田選手がそれをストロングに変えて持ち味にしているところ
このドリブルは横に並ばれた時点で西田選手の間合いに入るので止めるのは相当苦しい。
(退場判定についてはノーコメントです。)
注目シーン⑤ 自陣から70m超ロングカウンター炸裂
60分のシーン。これはもう鳥肌。決めてたら確実にヒーローだった。
Youtubeのハイライトにもあるので、このシーンは絶対見てください!
- 速度を落とさないが飛び込めない範囲でのボールタッチ
- タッチを大きくしすぎず相手選手が飛び込む隙を与えない。
- 相手の重心の逆をつくドリブル
- 林堂選手が内側に絞ってくる際に、逆をついて外にタッチをするのがバリうま
最後利き足と逆の右足でのシュートだったが、
これがもし嫁阪選手の利き足である左だったら神ゴールを決めていたかもしれない。
注目シーン⑥ 一矢報いるゴール
80分のシーン。もう少しゴールが早ければ、と悔やまれるが
一矢報いるゴールを奪った。
- ファーサイドへのクロスからの折り返し
- 後半のさらに終盤で相手選手も集中力が切れてきている時間帯
- ファーサイドへのクロスで相手選手の視線を外に向ける
- 折り返しに食いついた林堂選手を嫁阪選手のスルーでかわす
- 折り返し1人目の嫁阪選手ではなく、2人目の桑島選手がシュート
- 流石に2人目まで集中力を向け続けられないところでフリーが生まれた
後半62分に伊勢選手が下がって、堀内選手がCBに入る。
さらに後半ATには鈴木選手も下がって、寺村選手がCBに入った。
それくらい後ろからボールを供給し続けたが、逆転も追いつくこともできなかった。
印象に残った選手
嫁阪翔太選手
説明不要の大活躍だった嫁阪選手。
前半1本、後半1本、それぞれあと一歩の決定機があった。
後半の独走ドリブルは決まってたら奈良クラブのシーズンベストゴールだったかもしれない。
ファウルで止められたが、前半の裏抜けも非常に効果的で
前節の相模原戦でのPK獲得もだが、足元で受けてのドリブルだけではなく
裏抜けが狙えることで、相手DFは間合いを詰めるべきか詰めないべきか不自由な2択を迫られる。
間違いなくJ3屈指のWGである。
中島賢星選手
この日のプレーは目を見張るものがあった。
ビルドアップの貢献もさることながら、素晴らしかったのは守備。
危険なところには必ずスプリントして守備してくれる。
苦しい時に頑張ってくれる選手は本当に大事にしたい。
唯一気になることとしては、
ビルドアップ時に中島選手がかなり低い位置でボールを受けるので
1アンカーではなく2ボランチのようになり
システムが4123ではなく、4231になっていること。
とはいえ、フリーランニングなどで中央スペースを空けるプレーもあったので
必ずしも2ボランチだったかと言われるとそうではない。
ビルドアップのバリエーションが増えていると捉えるのが正しいのかもしれない。
いずれにせよ、中島選手が明らかにコンディションを上げている。
ここからのさらなる活躍に注目したい。
順位推移
今節の敗戦で奈良クラブは8位に順位を下げた。
上位争いから離れてしまい、中位に位置している。
順位等のデータについてはこちらの記事でまとめているので、お時間あればぜひ。
まとめ
奈良クラブのJ3第19節、カターレ富山との試合について振り返りを行った。
一言で言うと「内容の伴った敗戦」
結果的に数的有利になったので、フラットに判断できないかもしれないが
11人同士だった前半も、確かにセットプレーから失点したが
ビルドアップのバリエーションがいくつも見られたことなど
内容はしっかり伴っていた。
次節はアウェイでいわてグルージャ盛岡。
良いサッカーをしているので連敗を止めて再び上位戦線へ
バモス!奈良クラブ!